「働き蟻」という言葉を聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?多くの人が、働く蟻はオスだと思っているかもしれません。
しかし、実際には働き蟻はすべてメスでできており、女王蟻が中心となったメスの社会が存在しています。それでは、蟻のオスは何をしているのでしょうか?
実は、蟻のオスには悲しい運命があるのです……。今回は、その蟻のオスについてお話しします。
巣の中の蟻はほとんどがメス!
蟻のコロニーは「女王蟻」を中心とした階級社会です。女王蟻は他の蟻よりも大きく、すぐに見分けることができます。その周りには多くの働き蟻がいます。
働き蟻と女王蟻の役割
働き蟻は、2つの蟻で構成されています。
- マイナーワーカー…小さな蟻
- メジャーワーカー…大きな蟻
メジャーワーカーは巣を守るために敵に立ち向かい、マイナーワーカーは幼虫の世話や食べ物の確保を担当します。面白いことに、働き蟻はすべてメスです。
女王蟻は特に大きく、コロニーの中で唯一交尾ができて卵を産む役割があります。「働き蟻もメスだから卵を産むのでは?」と思うかもしれませんが、働き蟻は交尾ができないため、無精卵しか産むことができません。
一方、蟻のオスは交尾のためだけに存在し、他の働き蟻に比べて小さくて弱々しいため、簡単に見分けることができます。
蟻のオスは特別な時期にだけ存在!どんな姿?
蟻のオスは、コロニーの数が安定している間は生まれませんが、コロニーが増えると「繁殖期」がやってきます。この時期になると、羽の生えた新しい女王蟻とオスが誕生します。
新しく生まれた女王蟻とオスは飛び立ち、他の巣のオスや女王蟻と交尾します。この現象を「結婚飛行」と呼びますが、オスは基本的にこの時期にしか生まれません。
オスの蟻は、頭や顎が働き蟻に比べて小さく、見た目も弱々しいです。また、ハリアリなどの一部の種類では、オスの姿が全く異なることもあります。
蟻のオスの一生
蟻の種類によって結婚飛行の時期は異なります。
例えば、クロナガアリは4月、クロオオアリは5月、ケアリは7月に繁殖期を迎えます。
人間の結婚が幸せな瞬間であるのとは違い、蟻の結婚はあまりロマンチックではありません。トゲオオハリアリのオスは特に厳しい運命を迎えます。その一生は以下のようになります。
- 繁殖期にオスが誕生する
- 結婚飛行でオスが飛び立ち、女王蟻はオスをつけたまま巣に戻る
- 周りの働き蟻がオスの体を切り分け、餌にする
- それでもオスは腹部を残したまま交尾を続ける
これが蟻のオスの命です。生まれてから約1週間で死ぬことが多いです。また、交尾を終えられるオスは非常に幸運で、他の多くのオスは交尾を果たせずに亡くなります。
残酷に思えるかもしれませんが、交尾を終えたオスが他の蟻の栄養になることが、彼らにとって最高の生涯と言えるでしょう。
羽アリのオスが飛ぶ前に駆除を検討しよう
蟻のオスが羽アリとして飛ぶと、もし家の中で女王アリと交尾すると、庭や室内で繁殖する可能性があります。
特に「イエヒメアリ」や「ルリアリ」といった黒アリは、家の中に巣を作ることがあるため、注意が必要です。
一度巣を作った蟻は、女王アリを駆除しない限り完全に駆除するのが難しくなります。女王アリは殺虫剤をかける前に逃げることもあるため、そうなると繁殖を許してしまいます。
黒アリの女王アリを駆除するためには、毒餌を使ったベイト法が効果的とされていますが、必ずしも成功するとは限りません。また、アリの巣の場所を正確に把握していないと、逆に繁殖を促してしまうこともあります。
毒餌を撒く際は、アリの巣や通り道をしっかり確認してから行うことが大切です。
もし黒アリの羽アリを大量に見つけた場合、そこに繁殖が進んでいる可能性があるので、アリ駆除の専門業者に依頼することをお勧めします。
まとめ
蟻のオスは、人間の目から見ると幸せとは言えない最期を迎えますが、そのおかげで蟻は繁殖を続け、種を増やしてきました。昆虫の世界では、メスが強い社会が多く、メスの姿が大きい蜘蛛やカマキリは交尾中にオスを食べることもあります。
それでも、交尾をし繁殖をするのは、蟻のオスとして生まれた運命です。もしアリが繁殖しすぎて手に負えない状態になったら、早めに業者に依頼しましょう。