日本には、子供の日に柏餅を楽しむという風習があります。
この風習は、一体どのように始まったのでしょうか?
端午の節句を飾る伝統菓子である柏餅。
その歴史はどのようなものなのでしょうか?
この記事では、なぜ柏餅を食べるのが習慣になったのか?を中心に、以下の気になる疑問にお答えします。
- 餅を柏の葉で包む意味
- 柏餅が端午の節句を代表する食べ物になった理由
- 柏餅にまつわる面白エピソード
なぜ子供の日に柏餅を食べるの?
毎年5月5日の子供の日には、子どもたちの健康と幸せを願い、端午の節句を祝います。
この節句は古くから、子どもたちの成長、そして繁栄を願う節目として大切にされてきた習慣です。
端午の節句の起源は中国にあります。
邪気を払うために、菖蒲などの強い香りの植物を家の周りに吊るすという風習から始まりました。
日本では、この節句を祝うために以下のような独自の風習が育まれてきました。
- 柏餅を食べる
- 鯉のぼりを飾る
- 武者人形を飾る
- 五月人形を飾る
それぞれの季節には、それにふさわしい伝統的な食べ物があります。
お正月にはお餅を、ひな祭りには菱餅や桜餅を、そして子供の日には柏餅を食べるという習慣があります。
実際に、あるお子さんが幼稚園で初めて柏餅を食べ、それ以来柏餅の大ファンになったというエピソードも。
柏餅は、上新粉やくず粉を用いたもち米で作られ、中には甘いあんこが詰められ、柏の葉で優しく包まれています。
この柏の葉で包まれたあんこ餅は、シンプルでありながらも、深い味わいを楽しむことができます。
柏餅の歴史は、江戸時代の徳川家九代将軍から十代将軍の間に柏餅が日本の文化に取り入れられ、端午の節句に食べられるようになりました。
それからというもの、柏餅は日本の様々な行事で親しまれる和菓子として定着しています。
子供の日に柏餅を選ぶ理由は、以下の通りです。
- 柏の葉は子孫繁栄を象徴している。
- 柏の葉の形が、手を合わせているように見える。
- 柏の葉は神聖なものと考えられている。
- 柏の葉には健康を促進する効果があるといわれている。
子供の日に柏餅を食べる意味は?
端午の節句に柏餅を楽しむのは、「柏の葉」が持つ深い象徴性に基づいています。
- 柏の葉で繁栄を願う心
- 柏の葉の形が手を合わせているように見える
- 柏の葉が担う神事での役割
- 柏の葉の持つ健康効果とは
一つ一つ見ていきましょう。
柏の葉で繁栄を願う心
柏はブナ科に属する木で、一般的には落葉樹として知られています。
秋が深まると、多くの木々が葉を落とし冬を迎えます。
しかし、柏の葉は冬も通して木に留まり、春の新芽が出るまでそのままです。
柏の葉が冬も緑を保つ特性は、古くから人々にとって以下のような重要な意味を持っていました。
- 柏の木には守護の神が宿る
- 柏の葉は親が子を守るように春まで枝に残る
このように、柏の木は古くから子孫繁栄のシンボルと見なされてきたのです。
柏の葉の形が手を合わせているように見える
柏の葉は、人の手を合わせる形に似ていますよね。
この柏の葉の形が、柏の葉で餅を包むこと、そして「柏手」として知られる祈りや祝福の手振りとを結び付け、良い縁起をもたらすとされてきたのです。
そんな柏餅は特に、江戸時代において端午の節句に男子の将来の成功を願うのにふさわしいとされました。
柏の葉が担う神事での役割
食器や土器が一般的でなかった古い時代には、神へ捧げるお供え物を「柏の葉」に乗せて神前に奉納する習慣がありました。
当時の人々は、柏の葉にお供え物を載せることで、神への敬意と祈りを表したといいます。
この風習から、「柏手(かしわで)」という祈りのポーズや、「炊葉(かしきは)」という、お供え物を載せる葉の呼び名が生まれ、「柏」という名前が神聖視されるようになりました。
この伝統により、柏の木やその葉は神社での神聖な材料として、餅を包む際にも使われるようになったといいます。
柏の葉の持つ健康効果とは
柏餅から漂う心地良い香りに秘密があります。
それは「フィトンチッド」という成分です。
フィトンチッドは植物が敵から身を守るために放つ揮発性の化学物質で、抗菌作用や防腐作用があります。
森林浴が人々にリラックス効果や安心感を与えるのも、このフィトンチッドの効果です。
柏の葉は、ただ良い香りがするというだけでなく、科学的根拠に基づいた健康に良いとされる効果も見込めたのには驚きですね。
子供の日に柏餅を食べる習慣はいつから?
柏餅が子供の日、すなわち端午の節句に食べられるようになったのは、徳川時代、1740年~1780年にかけてのことです。
先ほど少し触れましたが、その頃の江戸は武家の影響が色濃い社会で、家を継ぐ世継ぎの存在は非常に重要な意味を持っていました。
その時代、世継ぎが生まれると、その喜びを表すために城で旗や模造武器、兜などを飾る習慣がありました。
この風習は将軍家に限らず、武家文化として広まり、やがて民間にも浸透していきます。
こうして、男の子の健康な成長と幸せを願う端午の節句が広く祝われるようになったのです。
そして、子孫繁栄を象徴する柏餅も、この節句とともに日本全国へと広まっていきました。
端午の節句に柏餅を食べる習慣は、武家社会から始まり、参勤交代などを通じて日本各地に伝わったとされています。
柏餅の中には通常、つぶ餡やこし餡が入っていますが、江戸時代には小豆餡や味噌餡が主流でした。
関東では味噌餡を用いた柏餅が普及しており、関西では中身の違いに驚かれることもあります。
店によっては、柏の葉の巻き方で小豆餡用と味噌餡用を区別している場合もあり、それぞれの餡が特定の意味を持つようになっています。
特に、砂糖が広く使われるようになる前から続く味噌餡の伝統的な製法は、伝統の風味を今に伝えています。
甘い餡に慣れている現代人にとって、砂糖を使わない味噌餡の味は新鮮で、興味をそそられるものがあります。
子供の日の柏餅を食べる意味は?端午の節句の柏の葉に込められた願いまとめ
ここまで、子供の日の柏餅を食べる意味は?端午の節句の柏の葉に込められた願いをお伝えしました。
子供の日に柏餅を楽しむ習慣は、古くは徳川時代に定着したものです。
この伝統にはいくつかの意味が込められています。
- 柏の葉で繁栄を願う心
- 柏の葉の形が手を合わせている
- 柏の葉が担う神事での役割
- 柏の葉の持つ健康効果
武士たちの間で生まれたこの柏餅の風習は、参勤交代を介して日本国内に広まりました。
柏餅の中身の多様性、どのようにして現代に伝わってきたのかについても詳しく見てきました。
子供の日の柏餅を食べることは、ただの風習以上の意味を持っていることが分かりましたね。
過去から未来へと受け継がれる家族の絆や、健やかな成長と繁栄の願いを象徴しているのです。
そんな先人からの教えに思いをはせながら、子供の日の端午の節句に柏餅を食べるのも良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。